コラム

Column

私たちが培ってきた転写・印刷の知識や経験をもとに、技術解説や事例紹介、業界動向などを発信しています。
ものづくりの現場で積み重ねてきたノウハウを共有し、お客様の製品づくりに少しでもお役立ていただける情報をお届けします。

転写紙の焼成温度とは?温度が合わないとどうなる?

陶器・磁器やガラスなどに絵柄を加飾する転写紙は、製品に貼り付けるだけでは完成ではありません。

転写紙を貼った製品を窯に入れ、適切な温度で「焼成」することで、印刷された絵柄を製品の表面に焼き付けます。

このとき、とても重要になるのが**「焼成温度」と「焼成条件」**です。

焼成条件が適切でないと、色が想定通りに発色しなかったり、十分な艶が出なかったりすることがあります。

今回は、転写紙における焼成の役割と、焼成温度が仕上がりに与える影響についてご紹介します。


転写紙の「焼成」とは?

陶器・磁器やガラス用の転写紙は、製品に転写紙を貼り付けた後、窯で加熱して絵柄を定着させます。

基本的な流れは、

転写紙を貼る → 乾燥させる → 窯で焼成する → 完成

となります。

焼成することで、転写紙に印刷されている絵具が製品表面に焼き付き、絵柄として仕上がります。

そのため、転写紙の品質だけではなく、どのような条件で焼成するかも完成品の仕上がりを左右する重要なポイントです。


なぜ焼成温度が重要なの?

転写紙に使用されている絵具は、適切な条件で焼成することによって本来の色や艶が現れます。

しかし、使用する絵具や製品の素材などによって適切な焼成条件は異なります。

焼成条件が合っていない場合には、

  • 本来の色に発色しない
  • 艶が十分に出ない
  • 絵柄の定着が不十分になる
  • 製品自体に影響が出る

といった問題が発生する可能性があります。

「とりあえず高い温度で焼けばきれいに仕上がる」というものではなく、転写紙・絵具・製品に合った条件で焼成することが大切です。


焼成温度が低すぎるとどうなる?

適切な条件よりも焼成温度が低い場合や、必要な熱量が不足している場合、絵具が十分に焼き付かないことがあります。

その結果、発色が想定と異なる、十分な艶が出ない、絵柄の定着が不十分になるといった症状につながる場合があります。

また、使用する絵具によっては、焼成条件の影響を受けて色味が大きく変化することもあります。

例えば、紫やピンクなどに使用される一部の金を含む絵具では、焼成条件が不足すると茶色っぽく発色する場合があります。

焼成後に「転写紙の色がおかしい」と感じても、必ずしも印刷時の色が原因とは限りません。焼成条件についても確認することが重要です。


焼成温度が高すぎても問題があります

反対に、焼成温度を高くすれば高くするほど良いというわけでもありません。

必要以上に高い温度で焼成すると、使用する絵具によっては発色が変化したり、絵柄の仕上がりに影響が出たりする可能性があります。

また、転写する製品そのものが高い温度に適しているかどうかも確認する必要があります。

大切なのは、

温度が低すぎないこと・高すぎないことではなく、その転写紙と製品に適した条件で焼成すること

です。


陶器・磁器とガラスでは焼成条件が異なります

転写紙は、使用する製品の素材に合わせて選ぶ必要があります。

例えば、陶器・磁器に使用する転写紙と、ガラスに使用する転写紙では、使用する絵具や適切な焼成条件などが異なります。

そのため、基本的に陶器・磁器用転写紙とガラス用転写紙を兼用することはできません。

同じデザインを陶器とガラスの両方へ使用したい場合でも、それぞれの素材に適した転写紙を製作する必要があります。

また、ホーローなどの場合も同様に、使用する素材に適した転写紙と焼成条件を選定することが重要です。


「○℃で焼けば大丈夫」とは限りません

焼成について考える際、どうしても「何℃で焼けばいいの?」という最高温度に目が行きがちです。

しかし、実際の焼成では最高温度だけで仕上がりが決まるわけではありません。

例えば、

  • 温度の上げ方(昇温速度)
  • 最高温度
  • 最高温度での保持時間
  • 窯の種類や特性
  • 窯内の温度差
  • 製品の材質や形状
  • 使用する絵具

など、さまざまな条件が仕上がりに影響します。

そのため、同じ最高温度を設定した場合でも、使用する窯やその他の条件によって焼成結果に違いが出ることがあります。

「設定した最高温度が同じ=必ず同じ仕上がりになる」とは限らないことを覚えておくことが大切です。


初めての製品や焼成条件ではテスト焼成がおすすめです

初めて使用する製品や転写紙の場合は、本番数量を一度に焼成するのではなく、事前にテスト焼成を行うことをおすすめします。

特に、

初めて使用する製品・生地
初めて使用する窯
これまでと焼成条件を変更する場合
新しい絵具や転写紙を使用する場合

などは、量産前に仕上がりを確認すると安心です。

まず少量でテスト焼成を行い、発色・艶・定着状態などを確認したうえで量産へ進むことで、焼成後のトラブルを減らすことができます。


焼成後の色がおかしい=転写紙が原因とは限りません

焼成後に、

「想定していた色と違う」
「艶が出ていない」
「いつもと仕上がりが違う」

といった問題が発生した場合、転写紙だけを確認しても原因が分からないことがあります。

焼成後の仕上がりには、

転写紙・絵具
転写する製品
焼成条件
使用する窯

など、複数の要素が関係しています。

そのため問題が発生した場合には、転写紙だけでなく、実際にどのような条件で焼成したのかを含めて確認することが原因を特定するうえで重要です。


転写紙をきれいに仕上げるためのポイント

転写紙をきれいに仕上げるためには、次のポイントを意識しましょう。

POINT 1|素材と転写紙に合った焼成条件を設定する

陶器・磁器、ガラス、ホーローなど、素材によって適した転写紙や焼成条件は異なります。

POINT 2|最高温度だけで判断しない

昇温速度や保持時間、窯の特性なども焼成結果に影響します。

POINT 3|初めての条件ではテスト焼成を行う

量産前にテストを行い、発色・艶・定着状態などを確認することをおすすめします。

POINT 4|問題が起きたら複数の条件を確認する

転写紙だけではなく、製品・窯・焼成条件なども含めて原因を確認しましょう。


転写紙・焼成についてお気軽にご相談ください

株式会社青木転写では、陶器・磁器、ガラス、ホーローなど、用途や素材に合わせた転写紙を製作しています。

「この素材にはどの転写紙を使えばいい?」
「この製品に転写紙を使用できる?」
「焼成後の色が想定と違う」

など、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

使用する製品やご希望のデザインなどを確認しながら、適した転写紙をご提案いたします。

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